映画「小さいおうち」2014年

hitto2015-03-05

映画「小さいおうち」2014年


『小さいおうち』は、中島京子による日本の小説。『別册文藝春秋』(文藝春秋)にて2008年11月号(第278号)から2010年1月号(第285号)まで連載された。第143回直木三十五賞受賞作。
元女中のタキが、自身の回想録を元に、かつて奉公していた「赤い三角屋根の小さいおうち」に住んでいた平井家のことを顧みながら、ある「密やかな恋愛」について回顧する物語。1930年代から1940年代前半、つまり、昭和初期から次第に戦況が悪化していく中、東京の中流家庭の生活が描かれる。
2014年、監督・山田洋次、主演・松たか子により映画化された。出演した黒木華は第64回ベルリン国際映画祭最優秀女優賞(銀熊賞)を受賞。byういき





黒木華さんは先日の日本アカデミーショーで最優秀助演女優賞を受賞し、遅ればせながら録画鑑賞。


映画館で「永遠の0」と、どっちにしようか迷った挙句「永遠の0」の方を観たのが去年の話、あれから映画館へは行っていない?
寂しい話です。




ちなみに日本アカデミー賞、「永遠の0」(山崎貴監督・岡田准一主演)は、最優秀作品賞にに輝き、最優秀監督賞、最優秀主演男優賞など8冠獲得。
世相を反映したのであろうかろうか、大ヒットの映画になったのでした。




「小さなおうち」こちらは地味に、黒木華さんがベルリン最優勝女優賞を受賞していて、その当時、朝ドラの「花子とアン」の花子の妹、かよ役で出演されていたこともあってか、イメージ通り、朝ドラの「かよさん」そのままに見えてしまいました。


山田洋次監督の先見の明があったというか、その他の配役は他の映画と重複するイメージがあったりして、多少損しているなあと、思わなくもないです。


でも無難ではあるし、監督自身の好みが私にも合ったものなので、安心して観ていられるというか、期待を裏切らないというか、その半面、面白みに欠けるという部分もあったりするのが正直な感想。


「渡る世間」の橋田ファイミリ―のように、山田ファミリーなんていうのがあるように思います。
脚本家の倉本氏にも通じるものがあるのです。

スタッフには、あうんの呼吸というのは結構大事なことだと思います。



話が逸れ過ぎ・・映画は?
というと、期待外れでは無かったけれど、「小さなおうち」は、結構モダンな作りで板倉(吉岡秀隆)が憧れの家だったと言っていたように裕福な家庭の話で、小学生である子どもの進学について意見されていたり、現代のお受験をとってもそれなりに裕福な家庭でなければ考えていない。



物語は不倫を扱いながら、思っていたよりドロドロとした感情が表面からは伝わらない、時子奥様(松たか子)板倉(吉岡秀隆)ではどうしても純愛と捉えてしまうこちら側のイメージが強い。


ドロドロしていたら、それはそれで嫌悪感が先に起ってしまうけれど、なんて勝手な感想だこと。


小説と違って映画は視覚に入ってしまう分想像力が働かないし、難しいところ。


松さんも吉岡さんも倍賞さんも演技はかなり良かった、松さんの上品な所作、吉岡君の優しい声、倍賞さんなんかは老け役が堂に入り恐れ入りました。



明るいオープンな家が象徴ということもあってか戦前の暗く重い空気感は全くなく、甥である妻夫木君のつっ込みと照らし、普通の暮らしを意識して作られたとも思いました。



戦後のタキちゃん(黒木華)がもう少し描かれていたら良かったのにとも思いました。

この辺は想像力で、何で結婚しなかったのだろうか、とか、東京に戻ってもう一度赤い屋根の小さなおうちを尋ねなかったのだろうか、とか、未開封の手紙を後生大事に箱にしまっておいたのは何故か、とか、あれから何十年と秘密を抱え思い出す度に自責の念に打ちひしがれてしまうのは、何故なのか、いったい罪なことなのか、とか。


この一点については、取り返しのつかないこととして人生を長々と送ってきたのかと思うと、やはり切なすぎる。