「脳男」小説

hitto2013-02-21

『脳男』(のうおとこ)は、首藤瓜於による日本の推理小説
中部地方で名古屋の次に大きい愛宕(おたぎ)市で、連続爆破事件が発生する。

警察が容疑者として辿り着いたのは、一人のサラリーマン・緑川。アジトに踏み込むと、そこには既に緑川と格闘している男がいた。鈴木一郎という男だった。彼はその供述内容から共犯と見なされ、精神鑑定を受けることになる。鑑定を依頼された医師・鷲谷真梨子は彼の真実の姿を探ろうとする。byうぃき



映画の方は斗真君主演で只今公開中ということです。が、鑑賞に足を運ぶ確率は多分ないかと思います。
そのうちDVDで。

時間を持て余し気味の暇な私を見て、次男が哀れに思ってか差し出した一冊、折角なので借りて読みました。



映画の配役どおり、鈴木一郎が生田斗真さん、鷲谷真梨子が松雪泰子さん、茶屋が江口洋介さん、脳内では彼らの声として入ってきています。
既に1本、映画を観終わったような感覚でいます。


派手な爆破事件から話が始まり、正体のわからない鈴木一郎を取り調べるまで、関わる地名や登場人物など、説明が丁寧で長く、前半は多少脱力。
鷲谷や苫米地という知り合いがいるお陰で、読書中人物が迷子になることはなかったです。



鈴木一郎を知ることで、精神科の患者の症状を文書で説明したりすることや、病状を医師が把握することが、どんなに難しいかということ、特に現実にいたなら大変なことだと気付かされます。
しかも本の中では病状を簡潔に説明しているにも関わらず、凡人の私の頭に入るのは言葉の断片、もはや理解しながら読み進めることが不能になって途中でどうでもよくなってしまうのです。

それでもページを進めるのは、その先の鈴木一郎がどんなことを始めるのかという一点の興味であって、その山場は玲子ちゃんを救い出すシーンだったり、茶屋たちの警備の目を盗み、身をひゅるりと交し逃れてしまう姿だったり、最後は死が待っているのかと思いきや、記憶したものを忘れないという才能が、なんとヘリの操縦だって出来てしまう・・此の辺が快感でした。


後半の茶屋は(私の中では)、もはや「一つ屋根の下」のあんちゃんになっていました。

夢を見る・・が、人間らしい感情を持ち始めたという証拠になるのだろうか。
これからだって、良いことも悪いことも生きている限り記憶は積み上げられていく。
覚えが悪く記憶の欠片をどんどん零してしまう平凡な人間は幸せってことだと思うけれど、鈴木一郎がもし警察側の人間だったらと思うと、映画「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」を想い出していました。
レオナルド・ディカプリオトム・ハンクス共演映画で、きっとディカプリオのように素晴らしい働きが出来そう。