映画「一枚のはがき」2011年

hitto2014-05-30

快晴、先週あたりから完全に夏服仕様。

部屋の中は25度以上、只今26度。
憂鬱な真夏が駆け足でやって来ます。



先週日曜日の読売新聞、日曜版、これまでの最高アクセス数で、クロスワード人気恐るべし。

何にせよ、このブログが誰かのお役に立てて嬉しいことでした。


今日は無事、お爺ちゃんはデイサービスへ出掛けました。

昨日はお爺ちゃんの検診日、足の運びが弱々しく歩行が明らかに以前のものと違ってきました。
手足の痺れを訴えることも頻繁になりました、が、治療法はないので、一にリハビリ、二にリハビリ、その為にもデイ通いは続けてほしいです。
悪くならないように、日々軽い運動をするしかないのです。


先週一週間デイをお休みし横になることが多かったせいか、顔の表情も生気が失われたような気がします。
そして明らかに子ども返り、些細なことでも私に意見を聞きます。
というか、一日の中いつ何時、お爺ちゃんに呼ばれるのかと恐怖になっています。



昨日は、お爺ちゃんの93歳の誕生日で、子ども達からのメッセージや贈り物に喜び、声を弾ませていました。

その時の様子は努めて明るくしているのですが、少しすると自分の身体の調子が何よりも心配になるのです。




これはもうしょうがない。

ここまで順調に暮らしてきたことが奇跡、大きな手術をし、その都度復活を遂げてきたお爺ちゃん、ここにきて肉体も精神も疲れきってしまったのだと思います。
一休みです。

何とか以前の気力を取り戻して欲しいと思っています。
私が根を上げるまでは、付き合っていこう・・その反動か、私も少し運動不足。

一日の大半を趣味に費やし、針を持ってチクチク遊んでいます。
で、昨日観た映画。




新藤監督の最後の作品。

「一枚のはがき」2011年

太平洋戦争末期、中年兵として招集された啓太(豊川悦司)ほか仲間99名の運命は、上官によるくじ引きで決定した。仲間の定造(六平直政)はフィリピンに送られることになり、戦死を覚悟した彼は啓太に妻の友子(大竹しのぶ)が書いた一枚のハガキを託す。もし彼が生き延びることができたら、妻にハガキは読んだと伝えてくれと頼まれる。・・byシネマトゥデイ

監督自身を投影させた映画ということもあって、反戦をストレートに伝えています。

淡々と描かれる友子(大竹しのぶ)の不運も戦争に巻き込まれた人には共通して大なり小なりあった不幸だと思わされた。

友子の場合、夫を失い再婚した弟も失い、義父と義母をも相次いで失うという稀なもの。



一方啓太(豊川悦司)は、招集された兵士の100人のうち94人が戦死、それもくじ運に恵まれたというだけで生き残った啓太(豊川悦司)、それなのに国へ帰ると愛する妻は、自分を育てた父親と逃げてしまった。
何たることか、と、自分が生き残ったことを恥じ、全てを捨ててブラジル移民を決めてしまう。



そんな時に一枚のはがきを手にとって、戦友の思いを戦友の妻に伝えることを思い出します。


一枚のはがきの送り主は戦友の妻、友子(大竹しのぶ)。

「今日はお祭りですが、あなたがいらっしゃらないので 何の風情もありません 友子」



これは、夫としては最高のラブレターを受け取ったんじゃないだろうか、寂しいと言われるよりもグッと胸にきます。


友子の2重3重の不運は生きる気力も失わせるもの、世捨て人になって唯ひたすらに生きる覚悟を決めていた友子。

あまりにも日本的で、耐え忍ぶ姿が痛ましい。

どんなに貧乏でどんなに辛い災難が起こったとしても多くを語らずじっと堪えて生きることを実行する人たち、それが日本的なのだと思った。

そうでなければ今日の日本はなかったかもしれない。


最後の場面、踏まれて踏まれて生い茂る麦畑が、この映画を象徴しています。


演技云々は、監督が選び抜いた役者揃いなので、文句のつけようもありません。

こういう戦争の陰で苦悩する人々を扱ったものは、体験した作り手に勝るものはありません。


新藤監督のご冥福をお祈りいたします。