「僕の大事なコレクション 」 2005年・アメリカ

hitto2009-12-15

「僕の大事なコレクション 」 2005年・アメリカ EVERYTHING IS ILLUMINATED
一枚の古い写真をきっかけに亡き祖父の故郷、ウクライナに向かったユダヤアメリカ人青年の旅を描く。家族の思い出の品を集め、自分の部屋の壁一面に飾っているジョナサン。祖母が亡くなる間際にくれた写真に祖父と写っていた女性を探す旅に出るが、現地で彼を迎えたガイドたちは一風変わった人々。彼らとの珍道中の果てにジョナサンが知ることとなる悲しい過去とは・・・。俳優としても活躍するリーブ・シュレイバー初監督作品。
<作品情報>
〔監督・脚本〕リーブ・シュレイバー
〔原作〕ジョナサン・サフラン・フォア
〔撮影〕マシュー・リバティーク
〔音楽〕ポール・カンテロン
〔出演〕イライジャ・ウッド、ユージーン・ハッツ、ボリス・レスキン ほか
 byNHK


登場人物が少ないのだけれど(三人の男と一匹、一人の女性・・・)旅のドキュメンタリー番組を観ているようで、主演のジョナサン(イライジャ・ウッド)が膨大にもつ自分のコレクションを遥かウクライナの地で、また何を増やしていくのか、全く見当のつかない面白味がありました。


少し前に観た「長い散歩」とはまるで違うけれど、同じ様に旅をする中で大事な何かが見えてくる。旅の中で見えてくるものって・・・きっとそれまでの心の荷を下してくるような、代わりにその後の人生を大きく変えたりするような何かを持ち帰る・・・だから、時々フラッと旅に出掛けたくなります。
この映画の結末は深刻で、ジョナサンの案内役である二人にも影響を与えてしまう。


初めからジョナサンの視点に立ちながら映画を観ていると、不思議な感覚になる。
コレクションを持つ人は珍しくないけれど、家族の思い出の品ばかりという、壁一面のコレクションには圧倒されます。
誰でも家族の思い出の品が一つや二つはあるけれど、あんなには無い。


自分のルーツを探ってはるばるアメリカからウクライナまでたどり着いたジョナサン(イライジャ・ウッド)。
立ち姿だけで雰囲気があってとても良かった。
最初の派手な歓迎から、案内人の連れている犬、「サミー・デイビス、Jr、Jr」という名前が冗談か、と思わせるけれど、犬嫌いのジョナサンが後部座席にその犬と乗り込むことに。
それが真面目で(イライジャ・ウッド)可笑しくて面白い。

いつしか眠ってしまうジョナサンの横で犬がおとなしくしているのも微笑ましい。
旅の終わりにはすっかり犬も懐いていたようで、それが映画の後味を良くしていました。


って、話のルーツを探すに至っては内容がとても深刻で、私の立ち入れない人種差別の問題が絡んで苦しくなります。
ユダヤアメリカ人にとって、迫害を受けていた過去の、戦争の犠牲者となった人種差別の問題があり、知り得ないことばかりなので、ルーツを探ること事態恐怖に感じます。
けれど映画は優しく、雄大な景色が広がり、すでに過去のこととして救われるようでした。


単なる案内人かと思っていたお爺さんが、ジョナサンが持っていた一枚の写真で過去の自分とが繋がる。
やっと探し当てた地で一人の女性に出会う。
写真に写る女性のお姉さんということだったが、お爺さんの過去が蘇る狙撃のシーンは怖くて見られない。
急所を外して、あの死人の山から立ち上がり助かった男性が案内人の祖父だったのか・・・いや、ジョナサンのお爺さん?いや違う、途中話の辻褄が合わせられない私。


ジョナサンのお爺さんは、ナチスの侵攻が始まる一週間前に渡米したのでした。
戦争が人を変えてしまうことは、踏み絵を踏ませるような悲しい強要に合うことも事実だけれど、なぜ案内人のお爺さんは、ここで死んでしまったのか。自責の念か?


兎にも角にもあのお爺さんは、ユダヤ嫌いを装って、自らを偽り今まで来たということだったのか。ここに来て、あまりにも悲しい決着を付けてしまったが、そのお爺さんの死に顔の満足そうなことが救いと言えば救い。
私にはお爺さんの気持ちを想像することはできないが、戦争の悲惨さを今更のように憎む。

何だか時間を忘れて書いていました、もうすぐお仕事がやって来ます、頑張ろうっと!