映画「寝ずの番」・・・長男22歳!

hitto2008-09-26


朝から雨が降り出しそうな天気・・・昼近くザーッと降りだし湿度が高い。


マキノ雅彦さん(津川雅彦)の第一回監督作品「寝ずの番」を見る。
原作は中島らもさん。上方落語の一門で師匠(長門裕之)、一番弟子(笹野高史)、おかみさん(富司純子)が、次から次ぎへと順番に亡くなってしまう・・・喜劇にはもっとも相応しくない哀しみの通夜「寝ずの番」を亡き人の元気だった頃のエピソードを面白可笑しく話しながら通夜の世はふける。

最初から突飛な勘違いで始まった病室でのやり取りに、恥ずかしながらも大真面目の出演者達が笑わせてくれる。
中井貴一さん、木村佳乃さんが可笑しい。清純派のイメージだった木村佳乃さん、一皮剥けた演技派女優として体当たりしていた。


艶っぽい大人のエンターテインメントと言うだけあって、落語界の世界だから笑って許されるような・・・壺に填る。一緒に見ていたお父さんは、大笑いだった。
この調子で第2作「次郎長三国志」でも笑わせてくれるのだろうか。出演者も「寝ずの番」に続いて中井貴一さんが主演の次郎長だし。他の出演者も豪華で芸達者な方ばかりなので、安心して見ていられる。
人間臭くて、真面目で、一生懸命な姿に、我を忘れて入り込めそうだ。


今夜は長男の22歳の誕生日・・・母子手帳には「胎児仮死」という文字が書かれている。
出産間際になって、心音が消え、心音グラフを記録する機会がピーッと鳴り続けた・・・今もゾッとする。
看護士さんが(助産婦さん?)慌てて掛けより、すぐに医師を呼びに走り、分娩台の上で私は震えるばかりだった。
両の足がガクガク震え「帝王切開にしましょう!」と叫ぶ医師の言葉で回りは騒然としていた。
私は「帝王切開ですか?」と尋ねながらも、既にまな板の鯉、されるがままに・・・自分では身動きとれず、何をする間もないまま頭では「ただ事ではないな」と、心臓は高鳴り怯えるばかりだった。

産む前から男児と知っていたので、喜んで待っている夫にどう説明するか?考えながらも万が一死産だったら・・・と、恐怖でいっぱいだった・・・陣痛は無かった、まだ間隔の開く陣痛で、直前の痛みではないことは分かっていたので、ただ時間が経つのを待っている状態でした。
真夜中のことで、うつらうつらしていられるくらい、気持ちも冷静だった(第2子だし)・・・ところが、突然の事態に・・・担当の医師が子宮の開いているのを確認し、力む間もないまま取り上げてくれたのです。


結局帝王切開にはならず、仮死のまま外に出され、赤ん坊が自力で呼吸を始め、産声を上げたのでした。なんという生命力・・・間一髪で産まれた我が子が、今日で22歳。


この子の誕生日には、いつも同じ事を思い出している。
きっと来年も再来年も、何十年先も・・・今もあの時のことは奇蹟であり、人によって生かされた命だと思い感謝している。