「My Son 〜あふれる想い〜」2007年・韓国

hitto2009-10-21

今日は、久しぶりに午前、午後にまたがりNHKアジア・フィルム・フェスティバル「My Son 〜あふれる想い〜」2007年・韓国映画と「ルパン」2004年・フランス映画ARSÈNE LUPINを手仕事の傍ら観ていました。
ブログを始める前までは、いつもこんな感じでした。今は時間が空くとついパソコンの前に座ってしまう。


「My Son 〜あふれる想い〜」2007年・韓国
2005年の韓国で大ヒットした「トンマッコルへようこそ」の原作者チャン・ジンが監督した感動ドラマ。強盗殺人の罪で無期懲役の判決を受けたガンシク。すでに服役15年目を迎えたガンシクは、幼かった息子の顔も忘れてしまい、獄中で何の目的もない日々を過ごしている。そんな折、模範囚として一日だけ外出が許されるが・・・。もの悲しいストーリーはやがて、驚くべき真実へとつながっていく。

<作品情報> 
(原題:MY SON)
〔監督・脚本〕チャン・ジン
〔撮影〕チェ・サンホ
〔音楽〕イ・ビョンウ
〔出演〕チャ・スンウォン、リュ・ドックァン、イ・サンフン ほかbyNHK


驚くべき真実は、むしろ無かった方が終わった後の余韻にスッキリと浸れたような気がするが。
NHKの予告の記事を読んで、父親が冤罪で真犯人でも出現するのかと思ったりしていたら、なんと淡々と父親が息子を訪ねる日がやって来る。
文化の違いもあるので、韓国の少年は素直で、たとえ強盗殺人犯の父親だとしても会うのを拒むことは出来なかったのだろう、とか、痴呆の祖母を献身的に介護する姿とか、大凡日本じゃ考えられないことも自然にやってしまうのか、と感心ばかりしていました。


ぎこちない親子の再会は、互いの心情を心の声として描かれ、そのズレが時間を追うごとにどう変わってくるのか楽しみだった。
息子の通う学校の門前で待つ父親、たった一日の外出なのだから一分一秒も無駄に過ごしたくない、息子の方は戸惑うばかり。
家に着いても気持はかみ合わない。砂を噛むような食事。
寝る時間になっても寝られずに、父親と息子は外へ出掛けることに。


この時間の描写がとても奇麗でした。
息子は走る、走る、父親も息子を追って走る、走る。
息を切らせ二人が止まったところは、月が大きく二人を見下ろしている、月との境界、天国でもなく、宣教師の言う別のいいところ。
反省した殺人犯のために神様が用意されたところ、寒くても寒くなく(冬のようでした)、夜なのに明るい。息子の顔は太陽の下にいる時よりも明るく見えます、と父親の声が入る。
意外にも息子がつき合う女の子に会うことに、その後は二人でお風呂(銭湯、韓国にもあるんだね)に入る。
夢のような時間が過ぎ、外は突然大雨。
狭い電話ボックスの中で雨宿り、ボックスの中には一匹のカゲロウ、カゲロウと父親の境遇が重なる。
カゲロウの大きさが一日の時間で測れるなんて、信じられずに調べてみました。騙されました。


そして朝を迎え別れの時が。
ところが、父親が何もかも悟ってしまう。
いったいこれはどういうこと?何というどんでん返し、それまで息子と思っていた少年は息子ではなかった。実の息子は既に亡くなっていたとは。
思えば左利きと言っていたのに、右利きに直せたのか、とか言っていたし。父親に殴られたフクラハギの傷はどうしてあの反応?
「僕のこと愛しているんだね。お父さんが死ぬまで愛して。フクラハギが時々痛むのは、お父さんが殴ったからだ」そんな少年の反応がすべて白々しくなってしまった。
けれど、この少年との交流が始まるのです。


このひねりが意味するところを考えてみるが、印象を軽くしただけで勿体ない気がする。
15年会わずにいた息子とて、こんな風に気持ちを通わすことは難しかったのではないだろうか。
本物でも偽物でも、心を通わせることができたこと、それが大事ってことだろうか。