安太郎さん、102歳

hitto2010-08-14

ヤスタロウ・・安太郎さん、102歳。
お爺ちゃんに付き添い、病院へ行った時に見かけた安太郎さん。


ホームの介護士さんが2人のお爺ちゃんを介護して病院にやって来ていました。
介護士さんは、私くらいのお年です。
一人のお名前は安太郎さん、その安太郎さんを残し、もう一人のお爺ちゃんと介護士さんが診察室へ入っていくと、突然介護士さんが思い出したように診察室のドアを開け、安太郎さんに向かって
「安太郎さん、血液検査が先だから・・」と声を掛け、すぐに診察室の中へ戻ってしまわれました。


安太郎さん、サンタのように顎から伸びたお髭がご立派で、頭髪の分もそこへ生えてしまったかのよう。一見仙人かとも思える風貌で小柄、華奢な腕には杖を伴ってすっくと立ち上がります。
杖をつき、すりすりと歩き診察室へ入っていこうとしています。
中待合室でお爺ちゃんと待っていた私は、「血液検査は、アチラですよ」と別の血液検査の部屋の方に掌を向けて教えてさしあげました。
軽く私に頭を垂れ安次郎さんがすりすりと血液検査の部屋へ入っていくと
「安太郎さん、今(血)取るから、こっちに座っていて」と、看護婦さんの声。


高齢ではあるけれど、耳もしっかりと聞こえているし、まるで介護を必要としていないようなので、多分(我が家の)お爺ちゃんよりは、年下だろうか・・と思っていました。


診察が済み、会計を待つ間、介護士さんと安太郎さんの会話が突然「102歳」と聞こえたところで(全く突然に)耳を疑い、視線は二人の方に固まってしまいました。


「安太郎さん、もう102歳なんだから、部屋の外をウロウロしないで、テレビでも見ているのが一番よ・・・・」などと、介護士さんが笑いながら安太郎さんに言い聞かせるように話したのです。
「ええええ!102歳!」


安太郎さんと呼ばれているのは、きっとホームの中に同じ名字の人がいるのかも・・それとも姓が安で名が太郎?なのかも、とどうでも良いことと思いながら、忘れてはいけない名前・・だって長寿世界一にならないとも限らない。


だって今が102歳、とてもとてもお元気、70代ですよと言われても信用してしまいそうなくらいなのです。
生まれて初めて私は、100歳以上というお年寄りに出会いました。
こんなに病院が混んでいなければ、握手を求めたいぐらいでした。

安太郎さん、また病院に来るかな?