映画「ディア・ドクター 」2008年

hitto2013-01-22

久しぶりに映画鑑賞。


映画「ディア・ドクター 」2008年
NHKBSプレミアムシネマ 山田洋次監督が選んだ日本の名作100本(喜劇編)から


「ゆれる」の西川美和監督が、へき地医療をテーマに描いた人間ドラマ。過疎化が進む村で、たった一人の医者として村人たちから絶大な信頼を得ていた伊野が突然、失踪。警察の捜査により、彼の驚くべき秘密が明らかになる。伊野はいったいどんな人物だったのか、なぜ失踪したのかが、一人の重病に冒された老婦人と伊野との関わりを軸に描かれていく。笑福亭鶴瓶が、映画初主演にしてブルーリボン賞主演男優賞を受賞。
キャスト
笑福亭鶴瓶瑛太余貴美子八千草薫香川照之井川遥、ほか・・・十八代目 中村勘三郎も・・byNHK

無理のない配役で演技なのか素なのか、如何にもその場所にいそうな感じで良かった。
ミステリアスな始まり方で、暗闇に光るバイクのライトが過疎化した村を映しだし、日本映画じゃないような始り。

時間を前後してその謎が最後まで解けないので、自然に映画に惹き込まれてしまった。
何といっても主役の鶴瓶さんが、画面で観ている鶴瓶さんそのままの表情をするものだから、この映画の主役にはこれ以上の役者さんが思い浮かばない。



先日、大変残念なことに大島渚監督が亡くなりましたが、確か魅力のある人を配役すれば映画は作れる・・と言うようなことを言っていましたが、正しくそう思わされた映画でした。
鶴瓶さん以外にも演技に定評のある瑛太さん、余貴美子さん、八千草薫さん、香川照之さん、井川遥さんとで、回りをがっちりと固め、自然な演技の中にもキラリと光る表情をそれぞれが見せていました。
西川美和監督の細かい点にまで、神経が行き届いた描写に感服。



僻地における医療問題は、難しすぎて分からないけれど、過疎地に限らず多くは信頼できるお医者様が一人傍にいるだけで安心できるものだと思います。

鶴瓶さん演じる伊野先生は村人から絶大な信頼を得ていて、研修医の相馬(瑛太)からも尊敬され、全く疑うこともされません、研修期間が終了したら又この村に戻ってもよいかと言うほどだもの。

偽者であるが故の不安と切羽詰まった鶴瓶さんの表情は圧巻でした。



看護婦(余貴美子)と製薬会社のセールスマン(香川照之)以外は、伊野先生が偽者とは知らないのだと、途中から漸く気付く。
よくぞ事件が発覚するまでに事故が起きなかったと思うくらいで、医は仁術と患者に寄り添うお医者様としては模範的で、最上クラス。

それもガン患者である八千草薫さんを診るまでで・・考えてみると冷たい管に繋がれた最新医療と、最新医療のない身内の温かい看護のもととで、どちらが患者として幸せなことだろうか・・と、考えさせられました。
病気の進行にもよるけれど、逆に命を縮める医療で有るかもしれない。

あまり選択肢のない過疎地では心の安らぎこそが救いで、自然死だと思う者は案外救われるとも思う。
そうはいっても、やはり偽者はいけない。


私的には最後の再会の場面は無くても良かったと思う。
映画で有る以上逃げ切ったのかと思うくらいでいい、事故も起こらず逃げ出したのだから、知らないでいた方がいい。