「京義線(キョンイセン)」 2007年・韓国映画

hitto2008-11-04

今朝のニュース(TV)も紙面のトップを賑やかにしてるのも、小室さんのこと。
つい、出掛ける前の忙しい次男に教えてあげました。
「なんで〜?(捕まったの?)」と、大見出しに首を傾げながら外へ飛び出して行きました。
若い人達の憧れだったミュージシャンが、こんな形でニュースに流されるなんて、あっては欲しくなかった。
それと対照的なニュースが石川君の優勝。
どちらも子供達の関心事。

昨日見た映画(NHK BS2)アジア・フィルム・フェスティバル 「京義線キョンイセン)」 2007年・韓国 THE RAILROAD ・・・録画で。

地下鉄の運転手として働くマンス。
何両にも連なった電車をマンスひとりで運転しているので、車内放送も出入り口の開閉まで任されている。
アナウンスが巧く、クイズを出したり、また「今日が最高の日でありますように・・・」と言って乗客を和ませたり、誠実でいい人という感じです。

運転席側から見るカメラ位置なので、目線が電車の前方に暗く迫り恐い。何処までも続く長いトンネル、明るいホームに近づく度にスリルを感じるが、マンスは慣れた手つきで業務を行っている・・・危険な作業だ。

マンスは「路面電車の運転手になりたかったんだ」と後で言っていた。

度々悪夢にうなされるマンス、徐々にその全貌が見えてくる。
黒い帽子を被った少女が突然電車の前に飛び込む・・・日本の鉄道でも自殺者の人身事故が頻繁に起きているが・・・飛び込み自殺の衝撃は大きい。
影響受けるのは、その他の乗客ばかりだと思っていたが、最大の被害者は運転手だった。
夜も眠れないマンスの恐怖がヒシヒシと伝わる。
自殺したのは、時々差し入れをしてくれていた少女だったのか・・・(自殺せず)そのままの関係が続いていたのなら、純愛映画になりそうなのに。

事故の後、休暇を貰ったマンスは、韓国の南北を貫いて走る鉄道「京義線」に乗り込む。
線路は北まで続いているが、韓国ではここ「臨津江駅(イムジンガン)」が終点・・・いつの日か北に続く線路の上を自由に行き来できるのだろうか。
多くの韓国人はそれを願っているのだろうと、この映画を見て思いました。
女性講師のハンナがドイツ留学の経験をもち、ベルリンの壁の崩壊後の様子を語りながら統一を待ち望んでいるように話していた。
統一されれば、日本からだって自由に行けるようになるのか?そうなれば拉致問題も解決が早いのに。


一方、女性講師のハンナは、指導者としての立場にある教授と不倫。
何度もくる母親の電話から、適齢期にある娘に対して遠慮のない意見が露骨に言われている。
ハンナはウンザリしながら電話を切るが、実生活はもっとひどく落ち込むことが・・・。

昔の映画で見たことのあるような不倫相手の妻の出現・・・これが露わですごい!
ちょっと古典的、全国の不倫相手の妻達が胸にあるつかえをこんな風にストレートにぶつけられればスカッとするのかも。
直情型の妻がハンナを捕まえ吠えまくる。髪の毛をつかみ、アバズレ呼ばわり「クズ女!!」と言い放ち、女性講師ハンナは落ち込む・・・ズタズタに傷付きそして「京義線」に乗り込む。

終着駅で出会った二人、これ以上先へ進めない電車を下りて、雪の舞い散る外を眺め途方にくれる。
タクシーも来てくれない。
互いに見栄を張り嘘を重ねたものの、嘘だというのは見え見え、降る雪に凍えながら歩く。
この駅から歩く景色描写が綺麗、雪は冷たいイメージだけれど、暖かいイメージもあると、この映画のパク・フンシク監督が言っていた。
ホテルを発見し暖をとる・・・北国育ちの私はこの寒さがどれ程かよく分かる。
床に手を当て暖をとるのが如何にも韓国。
互いに傷ついた胸のうちを話し始めるが、ここでは恋愛に発展するような癒し合いではなく、男女の嫌らしさを感じられず良かった。

1年後の明るい表情が少し簡単すぎて、こんなに巧くいくかな〜と、物足りなく感じてしまいましたが・・・。

普段の生活の中にも危険な予期せぬ事が溢れている。
心的外傷を持つ人が多くなっている現代、それぞれに悩み傷付いた人の行動もまた予期せぬものです。