幻覚

hitto2008-12-20

明るい気持ちになったのもつかの間、昨日の朝7時過ぎに病院から電話が入り、お爺ちゃんの様子を聞き愕然、長女を起こし病院へ走った。

一昨日いつものように見舞いに訪ねたが、麻酔からしっかり覚めたお爺ちゃんに安堵していた・・・ところが、時々意味不明なことを口走っていて気にはなっていたものの、面会時間の8時を回ろうという時刻だったので、半分正気のお爺ちゃんに別れを告げてきた。


閉鎖的な病院のベットで寝ている彼の視界は極めて狭い・・・カーテンの向こうに見えるのは詰め所(ナースステーション)に隣接した回復室。
そのドアの開け閉めを一日中気にしながら身動きできないベットの上で目で追う。
その回復室の扉を10センチ程開けて言葉の通じない外国の女性がカメラを持ってお爺ちゃんを撮影している・・・という。


「ほら、又あけた・・・こっちを見てる・・・見てみい、又カメラで写真撮るから・・・、まあ、かまわんけど・・・」回復室に目を向けてもドアは閉まったまま、人などいない。
咄嗟に私は霊感かと思い背筋が寒くなった・・・・・・・ところが、病院からの電話だと一晩中眠らず、意味不明なことを喋り、挙げ句ベットからも落ちそうになったり看護師さんがつきっきりだったとか・・・手術後には希にこのような患者さんがいるそうで、24時間体制で付き添いをお願いします・・・とのこと。



生活が一変する事態に気が動転していたが、言われるままに個室に移された。
こんな時、家族が多いのは不幸中の幸い、夫が会社から帰るまでこのことは伏せておき、長男と次男にはメールで知らせておいた。


次男は一昨日教習所の卒検をパスして、翌日の昨日、門真に免許取得に出掛ける日。
次男と私達は同時刻に家を出た。
長男は深夜の忘年会帰り、ベットの中だ。
長男には夫の帰りを待って一緒に病院へ来るようにメールする。



私と長女は、お爺ちゃんの妄想に付き合いベット脇で様子を観察。
彼の手が宙を舞い、四六時中作業を繰り返す。
何かに怒りながら口調はいつもより荒い。


毎日飲む薬の仕訳をしているのだと分かるが、処方箋の用紙が無いと声を荒らげ、引き出しに入っている説明書を見せろと言ったり。
視線は虚ろで焦点が合わない・・・・・夢の中に入ったまま、ハッキリした口調で言葉が繰り返される。

九州の親族の名前が出てきたり、葬儀に行くと言ったり、腰が痛いので変わりに誰か行ってくれと言ったり・・・。時々彼の夢の中に無断で入り込み、私の見えない世界を感じながら、何とか落ちつかせることだけに努めていたが・・・。
なかなか眠らない・・・眠っているのと等しいのかも分からないが、兎に角無言でいることがない。


入院期間中のストレスが一気に吹き出したかにも見える。
今までの、溜まっていた言葉の羅列に合わせながら、深い眠りについたのは午後の3時過ぎ。
鎮静剤は、夜にかけて4度も注射されたと言うが、効いていなかったと言う・・・が、それも信じられない話し。


午後の6時を回って夫と長男が病院に駆け付ける。
家族でシフトを組まなければならないと狭い病室で家族会議。
夫は今日(土曜)も出勤、夜はあてにならない。
私が泊まることになるだろうと考えていたけれど、日中ゆっくりしていた長男が自分が泊まって大丈夫だというので、いったん家に帰り準備をして泊まってもらうことに。

その間、夫と長女が病室で待機。
長男と私がいったん家に帰ると、次男が合格の免許証を持って待っていた・・・喜び勇んで帰って来たというのに、真っ暗なリビングに驚いていた・・・可哀相に・・・お腹もペコペコ(時刻は8時頃)
次男が免許をとったので自分が運転すると言ったが・・・ここでこれ以上の不幸はやり切れない、と言ってなだめる・・・それに保険加入もまだだし、まだダメ・・・だよ。


今朝、病院にいる長男にメールを送る・・・帰ってきたメールに「お爺ちゃんの意識は戻ったようだvv」
どこまでか?昨日の惨状を見てきた私には、まだ信じられないが、夜ぐっすり眠れたことで、私の気持ちは落ちついている。