「 イブラヒムおじさんとコーランの花たち」2003年フランス映画

hitto2009-01-31

舞台は1960年代のフランス・・・フランス映画はそんなに見ていないけれど、何となく難解な筋かな?と敬遠しがち・・・昨日見た映画「 イブラヒムおじさんとコーランの花たち」は日本語タイトルが子供向け?と思うような優しいメルヘンのよう。


Wikipediaには詳しく書かれていませんが2003年のゴールデングローブ賞外国語映画賞にノミネートされていたんですね・・・昨日、BS2でたまたまゴールデングローブ賞を流して見ていましたが・・・映画好きなら、ちゃんとノミネートのタイトルを記録しておくと良いのだろうな。


ケイト・ウィンスレットレオナルド・ディカプリオとのゴールデン・コンビによる「レボリューショナリー・ロード」が、「ゴールデン・グローブ賞」の最優秀主演女優賞に輝きました。ケイト・ウィンスレットのスピーチを聞いて、しっかりしたお母さんになられて、才能ある女優さんなのだなと感心しました。
エターナル・サンシャイン」2004米映画も「タイタニック」とはガラリと違った役に徹していたし。

それと気になる作品、インド・ムンバイのスラム出身の若者たちの青春を描いた「スラムドッグ$ミリオネア」(ダニー・ボイル監督)は、作品賞、監督賞、脚本賞、作曲賞の4部門で受賞しました・・・記録しておこう。



昨年はアメリカ脚本家組合が行っていたストライキのため授賞式が中止だったので、今後どうなるのかと思っていたら・・・どうなったんでしょう?
アカデミー賞(WOWOWだっけ?)は我が家のTVでは見られないので、グローブ賞の模様を知ることは嬉しいことです。
なかでもスピルバーグ監督のスピーチは良かったです。
セシル・B・デミル賞という功労賞のようなものなんでしょうか・・・やはり素晴らしい監督です。
作品の紹介だけでも溜息が出るほどの大作名作ばかり。
スピーチは映画では見られない普段の姿や人柄が滲み出てきて楽しいです。


イブラヒムおじさんとコーランの花たち」は、1960年代パリのユダヤ人街、娼婦が等間隔で並ぶブルー通り。
若く美しく着飾った娼婦達、父親と二人で暮らす13歳の少年モモ(主演)とブルー通りに店を持つ老人イブラヒムおじさん・・・その出会いから、閉ざされたモモの心の扉が少しずつ開かれ救われていくのですが・・・。



父親から誕生日プレゼントで貰った貯金箱、コインを一つ落として嬉しそうに眺める幼い頃のモモ。
13歳になったモモは、その貯金箱を壊し、有り金を持って娼婦のところへ出掛けます・・・13歳の脱皮です!この時代、この環境の成せる技か・・・。
始めは相手にされなかったけれど、お金があればなんでもOKと、モモは大人気取り。


モモの父親が本当は存在しなかった兄(ポポル)とモモを比べて、いつもモモの心は傷付いていました。
母親はモモが小さい頃に家を出ていったのでしょう。
だから兄のポポルは母親が連れて行ったと思っていたのかもしれない。


なんともやり切れない父子関係、いるはずもない兄と比べて何の得があるのだろう。
イブラヒムの店で万引きを繰り返すほど気持ちは荒んでいたモモ。
そんなモモをイブラヒムおじさんは知っていて、とがめることもしないで「万引きはこの店だけにしなさい」と優しくモモに言う。
始めから惜しみなくモモに注がれる愛情。


イブラヒムおじさんの言葉から、いくつも学ぶものがある。
「お金持ちはいつも幸せで笑顔でいる」と言ったモモに対して「笑顔でいるから幸せになれるんだ」と
モモが少女に失恋した時にも
「気にするな彼女への愛は君だけのものだ。君の愛は、変わらない」と言ったり・・・全てはコーランの教えにあるのだと。


Sunny(Bobby Hebb) Rock Around The Clock(Bill Haley)等々、どこかで聞いたことのあるアメリカ、ロックンロールのメロディーがまた良いです。


家族の愛情を知らないモモは、イブラヒムおじさんを慕って何でも話せるようになるのですが、ある日父親が家出・・・数日後モモの元に警官が・・・父親は列車に飛び込み自殺。
イブラヒムおじさんもまた孤独な老人、モモはイブラヒムおじさんの子供になって、めでたし、めでたし・・・なのですが、続きがまた悲しい。

最後に逞しく成長したモモが。