向田邦子「母の贈り物」

hitto2009-09-30

今日観た録画(随分前の)・・向田邦子生誕80年記念スペシャル「母の贈り物」・・・民放スペシャル番組は、録画再生でCM飛ばしで見るのが一番・・イライラしないです。


タイトル通り真珠の指環を若いカップルが母親に贈ることになっている・・・それなら「母への贈り物」・・「へ」を抜いた「母の・・」というのが後味を爽やかにしてくれています。
指輪に感動はするのだけれど、母から貰い受けたものは形のないもので・・・どんなに感謝してもし切れないものがたくさんあって、自分に置き換えて考えるだけでも胸が詰まります。

橋田作品のプロデューサー、石井ふく子さんが手がけた作品で、登場人物は、渡る世間にかぶるところも・・・でも、若い二人の演技がとても良かった。


時代も昭和50年に設定していて、仕事場やアパート、家の作りやスナックがいかにも懐かしい佇まい、無理に現代版にしないでくれて本当良かった。
昭和50年だと思いを巡らすことは嬉しい・・・このドラマの若い二人が私とほぼ同じ世代だから。


登場人物それぞれの立場が、可笑しいくらいにわかるので、ドラマ進行が速すぎても、もっと急かしたくなってしまう。
ドギマギするこんな場面は(結婚式前夜のドタバタなど)そうそうないけれど、登場人物それぞれの思いに感情移入しやすくホロホロと泣かされます。


6人とも今を一生懸命に生きていて、これだけは・・・と、自分の思いを相手にぶつけてしまう・・・若い二人には受け入れられず、子供のままの暴言・・・結婚相手が、自分と同じ立場になって、客観的に見ることで子供から大人へとなれたのかな・・次第に親の思いにも気付き、親を思うことが結果的に親離れを果たすことに。


あ〜、私の気分もスカッとしました。
現代にはない人間模様のドラマと感じてしまうのは、今の社会情勢が複雑な上に、互いに忙しいと気遣い、誰でも携帯電話にメールと簡素な言葉だけで済ませがちだからか・・・人間関係に誤解が生じることが多いし、親子間でも交わす言葉が少なく関係が希薄になっているのでは?と、感じるからだろうか。
母ひとり子ひとりとか、母子家庭や父子家庭なら、今の時代の方がきっと多く、親の離婚や再婚だって増えているのだろう。
ドラマのような事情があったとしても回りくどい形になることが多いのかな、子供は自分の殻に入ってしまうかもしれない。

現代での結婚式前夜は、恒例の親に感謝する場面などあるのだろうか・・・最近は見たり聞いたりしたことがない(私が知らないだけなのか・・)
今は披露宴で感謝を読み上げるのが一般的になっているのかな・・・それもいい。
ドラマを見終わってスッキリしているのは、気持ちをストレートに伝えながらも、相手の気持ちを思いやっているのがよくわかる・・から。
だから、互いが理解しあえるところまでいけるのだろうな。